なぜ、傾聴と承認なのか
かつての私自身も、心理的安全性という言葉を知りませんでした。
指導については、「自分が教えられてきたから」という理由で、受けた指導をそのまま行っていました。相手は十人十色で、それぞれのバックグラウンドを把握しながら柔軟に対応する必要があったはずです。それでも当時の私は、知識やスキル、実践があれば、人はおのずと成長していくと思い込んでいました。
以前は、そうした一方向のマネジメントやリーダーシップが主流の時代もあったと思います。しかし、いまは違います。一方的に伝えるだけでは足りず、相手を承認し、傾聴することが不可欠だと感じています。
この当たり前のことを徹底できる組織は、意外なほど多くありません。スキルを学ぶ機会が少ないという事情もありますが、向き合わない方が楽だから、という面もあるでしょう。知識やスキルを伝え、伸びる人だけを伸ばし、合わずに辞めていく人は「縁がなかった」と相手の責任にする。その方が楽だからです。
ただ、それを繰り返した先に、組織の継続は難しくなります。人材は重要な資源です。お金も設備も大切ですが、人材は何よりも重要です。人材への投資こそが、この先の社会で生き残っていくために必要なことだと、私は考えています。
当たり前で、誰もができる。それでも、誰もがやらないことを徹底する。それが周囲との差別化につながり、選ばれる組織をつくる。そう感じています。